【猫の舌】って聞いてまず思いつくコトといえば
そぅ!
なんと言っても舐められるとちょと痛いあのザラザラ!
ですよね。
そのザラザラの正体は、密集したこれなんです。
猫の舌
なんといっても糸状乳頭
猫の舌の痛いくらいにザラザラするのは
【糸状乳頭(しじょうにゅうとう)】と呼ばれる、約300本くらいある細かな突起があるから。

でもボクたちは、その突起で味覚を感じているわけではないんだよ。
糸状乳頭の役割は、食べ物を上手に掬いあげて口の中に運んだり
全身の毛づくろいをするためのもの。
野生時代、骨についている肉をキレイにそぎ落としたり、
古い体毛や、身体についた汚れを落として毛並みを清潔に整えるためのクシやブラシのような役割をしているんだ。
糸状乳頭は、髪の毛や爪と同じケラチンという物質でできていて、毛づくろいをするためのクシの代わりにピッタリなんだ。

あ、でも子猫の頃の糸状乳頭はほんの少ししかなくて、
離乳の頃から徐々に増えて行くんだー
その先端は、とがったトゲのような形をしていると考えられてきたけど、2018年に発表された米ジョージア工科大学の論文によると
実は≪スコップ≫のように湾曲した形をしているって判明。
米ジョージア工科大学のアレクシス・ノエル(Alexis Noel)氏とデビッド・フー(David Hu)氏が、イエネコ、ボブキャット、クーガー、ユキヒョウ、トラ、ライオンの舌を、断層撮影装置でスキャンしてみたんだって。

スキャンされたこの6種。
体重は30倍近くの差があるにもかかわらず、糸状乳頭の1本の長さはほぼ同じ「2.3 mm」だったらしいのだ。
そして糸状乳頭はこれまで考えられてきた単純な≪とげ≫という構造ではなく、
管を半分に切ったような・・・
想像しやすく言うなら、猫の爪のようなカタチをしていて、内部に空洞がある構造をしていることが解ったんだ。
そんなスコップのような形の糸状乳頭による毛管現象によって、唾液を吸い上げるということも判明。

吸い上げられ舌に含まれた唾液は、毛繕いでひと舐めするごとにその半分が被毛に付着することまで、ハイスピードカメラで撮影することで解ったんだよ。
しかも。
ボクたちの毛づくろい、ただ表面だけを舐めているだけではなく、
糸状乳頭は、被毛の奥深くまで入り込んで皮膚まで到達することも分かったんだ。
猫は肉球にしか汗腺がないから、ヒトのように汗で体温調整ができない。
だから皮膚に付着した唾液は汗の代わりとなって、体温調整に役立っているらしい。と考えられてるんだ。
猫の舌はヒトと違って、「食べ物の味を感じる器官」というより【道具】としての役割が大きいんだね。
猫の味覚
ちなみに猫の味覚はやや鈍いんだ。
甘さはほとんど感じない。

でもボクたちが野生だったころ、腐ったお肉を食べておなかを壊したりしないように。と、苦さとすっぱさにはとても敏感なんだ。
苦みは、体に害を及ぼす食べ物を察知するための必要な味覚だから、とても敏感。
酸味も、食べ物が腐ってないかどうかを判断しなきゃいけないから、猫の味覚の中では最も発達しているんだ。
しょっぱさと辛さは、自然界の暮らしでは必要がないから、これもあまり感じない。
ほとんど感じない子もいるんだ。
ちなみに、熱いものが苦手なことを【猫舌】っていうけれど、猫も実際に【猫舌】。
だって、自然界には体温より熱い獲物がいないから、熱いものを食べることがない。
だから猫以外の動物も、みんな猫舌。
同じように冷たすぎるのも苦手。

ボクは、お水の味にもうるさいよ
水の味にうるさいのは猫が一番という説も。
入れたばかりの新鮮なお水より、お外に溜まったお水やお風呂の残り湯を飲む猫が多いのは、そのほうが塩素が抜けているからなんだ。
猫の水飲み
猫も犬も、舌を裏側に丸め、水をすくって飲むんだけど、
犬は舌全体を使って巻きこむようにして、ちょっぴり大胆に。
こぼすお水の量も、大胆。
でも猫は、優雅に舌の先だけをちょこと入れて水を引っ張るようにして持ち上げ、一瞬できる水柱の先端を口の中に入れて水を飲むんだ。
1回の動作で飲める水の量はほんのわずかだけど、この動きを1秒間に3から4回ほど繰り返して、高速で舌を動かして上手に飲んでいるんだよ。

でもボク。そんなに上手じゃないんだ・・・。
舌の先が水についてなかったり、
裏側に丸められなかったり、
上に跳ねあげすぎて、鼻にかかったり。
あ、そうそう。
唾液を吸い上げることのできる糸状乳頭だけど、水を飲むときは舌の先だけを使うから関係ないんだ。

糸状乳頭に絡ませて水を持ち上げたほうが、効率よく飲めそうだけど。