動物たちがもたらす「癒し」
動物が、人間の「健康」に大きな影響を与えると、
近年、さまざまな角度から科学的に論じられるようになってきました。
はるか昔から人と共に生き、
その生活を支えてきた動物たち。
人の暮らしを豊かにする。
それを左右しているのは、
実のところ「動物たち」なのかもしれません。
ボクたち猫や犬、動物と触れ合うこと。
それはただ単に
「いやされる」
「優しい気持ちになれる」
そういう心理的な効果や抽象的なことだけでなく、
実際にボクたち猫や犬など、人間と親しい動物に限らず
「動物」と共に過ごしているヒトたちは
そういう健康面での改善の報告が、人間の医学会からも出ているんだって。
アメリカで4千人以上を調べたところ
猫と暮したことのある人は、猫と一度も暮したことがない人よりも
心筋梗塞や脳卒中のリスクが約40%低かった。
という結果も。
これは、ペットの存在自体がストレスを軽減しているという効果。
猫がストレスの緩和の役割を果たしている、と考えられているんだ。
犬を15分から30分なでることで、
血圧が10%も下がることも立証されているらしいよ
また
お世話やお散歩をすることで生活にリズムができて、副交感神経が活性化。
快眠・快食へと導いてくれるし、
ボクたち傍で一緒に暮らしているからこそ
「よし、健康で頑張ろう!」って気持ちにもなれるんだ。
ね!
おかーちゃんっ
環境の指標(バロメーター)のひとつ
人がサバンナで動物たちと生きてきた時代にさかのぼる事、
少なくても10万年あまり前。
その時代の人々にとっての動物は「食糧」であると同時に
環境のバロメーターのひとつだったんだ。
広い草原の中、ゆったりのんびりと休息をとる、シカやシマウマの群れ。
それを見ることで人間は、
その近くに怖いライオンやトラといった捕食獣はいないな。とか、
まだ嵐は来ないな。とか、
穏やかな動物たちの姿を傍で見ることで安心して、333333333333333気分を落ち着かせることができたんだ。
近くでのんびりと過ごす動物の姿を見ることで人間は安心し、
気持ちを落ち着かせる
それは例えば、血圧が下がる。というような生理学的変化を人の体にもたらし
今の時代でいうところの「癒し」の正体は、
実は動物たちが人に送る「環境シグナル」の結果として生じる心身の安定と考えられているんだ。
ということは
その逆のことも言えるよね
草原のシカやシマウマたちが突然、驚いたように飛び跳ね、
目の前から逃げ出したら?
当然、それを見ていた人間も同様に驚いて
え??なにごとっ?!何か来るのっ!?
何か起きるの??!なになにっ?!
って、慌てふためくことになるでしょ。
心臓、ドキドキするでしょ。
バクバクするでしょ。
草の陰からライオンが飛び出してくるかもしれない。
地震が起きるかもしれない
誰も、予想も出来ない何かが起きるかもしれない。
驚いた動物たちを見た人間もまた驚き、不安になり、落ち着きをなくす。
つまり人間が動物から「癒し」を感じるのはあくまで
動物自身が良好な環境の中で、
安定した精神状態の中におかれているときだけ。
だってそうでしょ
牙をむき出して威嚇してくる猫や犬に
「いやし」なんて、感じないよね。
それってただ
「怖い」としか思わないでしょ。
でも、ボクたちが牙をむき出すときって、
ボクたち自身が恐怖や不安を感じているときなんだ。
動物たちに「癒される」ための環境
動物たちに「癒される」のはあくまでも
動物自身が落ち着いた環境の中で、
動物自身が安定した精神状態の中にあるとき。
もし逆に
動物たちが不安や恐怖、不快感などを抱いていたら、
それを見る人間もマイナスの影響を受けてしまう。
ボクたちのこと「好き」とか「嫌い」とか、
その感情とは別のところで無意識であっても、
ボクたちの様子を「環境のバロメーター」として見ることで
「癒し」や「安定」そして「不安」を感じるんだ。
これがもっとも基本的な
動物と人との関係。
動物を巻き込むさまざまな「活動」には、
常にこのことを考えなければならないんだ。
参考文献:愛玩動物飼養管理士テキスト2級-1
ペットのスペシャリストを目指す方に【愛玩動物飼養管理士 2級・1級】