【動物愛護論】で書いてきたように、人の「動物」に対する考え方は、
アリストテレスやデカルト、
ベンサムやシュヴァイツアーなど
いく人かの哲学者や思想家によって議論されていき、
やがて、今日の「動物観」をカタチを作ってきたのです。
でも、この変化は
一部の哲学者などの力によってのみ、作られてきたわけではないのです。
社会が発展していき議論を積み重ねられるようになると、
徐々に「世論」が形成され
やがて社会全体の動きとして、
動物に対する考え方に「変化」が見られるようになったのです。
イギリスではじまった【動物愛護運動】
18世紀のイギリスは、
ヨーロッパの中で最も動物に対して残酷な国だと言われていたけれど
動物愛護運動をまっさきに始めたのも、実はイギリスだったんだ。
□ イギリス
□ アメリカ
□ カナダ
□ オランダ
□ スウェーデン
など
イギリスが「近代的な動物愛護運動」の発祥の地と言われるのは
1822年に成立した「家畜の虐待と不適当取り扱い防止条例」によるもの。
これ、テストでまーす!
覚えてね!
これは、「ウマ」などの家畜の虐待の防止を目的とした法律。
世界史上の中で最も早い「動物虐待防止法」なんだ
その後、何度か改正され、今日まで続いているだけでなく
世界中のいろんな国々でも、
この法律を参考にして「動物虐待防止法」が作られて行ったんだ。
この法律の法案を国会に提出したのは
リチャード・マーチンさん。
議員さんだったんだ。
マーチンさんが「動物の虐待はいけない!」というと、
他の多くの議員さんから
「それって、生ガキを食べるのもダメなのか?!」と反対の声があがったけれど
マーチンさんは頑張って、この法律を成立させたんだ。
なのでこの「家畜の虐待と不適当取り扱い防止条例」は通称
「マーチン法」と呼ばれているんだ。
「家畜の虐待と不適当取り扱い防止条例」って
長くて、なかなか覚えられなぃよね
だから「マーチン法」って覚えても
大丈夫なんだって。
はぃ、これも
テストでますよー
マーチン法が成立した2年後。
1824年にはロンドンで「動物虐待防止協会」が設立。
これは世界で初となる、民間による「動物愛護運動」の始まり。
SPCA:The Society for the Prevention of Cruelty to Animals
この協会はやがてビクトリア女王から賞賛されると、
王立(ロイヤル)の名を用いることを許可され
そして、王立動物虐待防止協会と名前を変えた今も、その活動は継続され続けているんだ。
でも、ここだけの話。
王立ってなっているけれど
王室からの資金援助はないらしぃ
RSPCA:The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals
イギリスの社会的背景と思想的根拠
18世紀。
ヨーロッパの中で最も動物に対して残酷だと言われていたイギリス。
1970年代。
王立動物虐待防止協会の会長を務めていたリチャード・ライダーさんは
「今日、イギリスが他の国々に対し【動物虐待だ!】と言って避難しているが
18世紀のイギリスはヨーロッパのほかの国々から【動物虐待】と非難されていた」
と言っているのです。
そのやり玉に挙がったのが
馬車を引くウマへの虐待
ウシいじめ
クマいじめ
鶏闘
動物を苦しめて楽しむ娯楽は、都市化と関係があるみたい。
産業革命で都市に「労働者階級」ができると、労働者の休日の娯楽として、
杭につないだ牡うしに数頭の犬をけしかけてウシが苦しむのを見て楽しむ
ブルベイティング(Bull-baiting:ウシいじめ)
という見世物が盛んになったんだ。
そこに使われていたのが「ブルドッグ」
ブルドッグはブルベイティングのために作られた犬で、
牡ウシの唇か鼻にかみつくように訓練されていたんだって。
そんなの・・・
人間が愉しむために苦しめられる「ウシ」さんも可哀そうだけど、
そのために「ウシ」さんに嚙みつかなきゃならないブルドッグさんだって可哀そうだ
そんなこと、本当はしたくなかっただろぅに・・・
自動車のない時代だったイギリスでは、ヒトや荷物を運ぶのは「馬車」。
ロンドンからエジンバラへと通じる道で、暑い夏の日に疲れてヘトヘト。
喉が渇いても水をもらえず、
ムチで打たれ続けて力尽きて倒れてしまう馬車ウマが、一日に何頭もいたんだってさ。
と殺場では、ウシを即死させることはなくて、
腱と鼻孔に通した鉄鉤で吊るして、首を切り、徐々に出血させて死ぬまで放置。
ウシは断末魔の悲鳴を上げ・・・
ぁー・・・
そんな光景を想像しただけで・・・具合が悪くなっちゃう・・・
で。
このままではイギリス国民は将来、残酷な野蛮人になってしまう!!
これは一大事!!
っていうことで「動物虐待防止」の運動がおこったのだそう。
そこで出てきたのが、最初で紹介した
1822年に成立された「家畜の虐待と不適当取扱い防止条例」になるんだ。
その後、1835年にはブルベイティングは完全に禁止されたんだよ。
産業革命がもたらした当時の弊害
産業革命がもたらした当時の弊害として、
ロンドンのような大都市にはさまざまな、望ましくない状況が起きていたんだ。
○ 未成年者の就労
○ 監獄の囚人に対する非人道的な処遇
これを改善しようという社会改革運動がおこり、この一連の人道運動のことを
【ヒューメイン・ムーブメント】そう呼んだんだけど、
この中には「動物愛護運動」も入っていたの。
英語で
ヒューメイン・ムーブメント
ヒューメイン・ソサエティー
これを直訳すると
○ 人道運動
○ 人道協会
になるんだけれど現在では、
○ 動物愛護運動
○ 動物愛護団体
と呼ばれていて、動物愛護運動は
「動物の救済」と「人道教育」これが2本柱となって、19世紀当時の動物愛護運動の基礎となる考え方は、動物を思いやる気持ちと憐み。
つまり動物に対する同情。
この考え方は今も変わっていないんだ。
イギリスから始まった「動物愛護」の運動は、やがてアメリカ、日本へも伝わって行ったんだ。
参考文献:愛玩動物飼養管理士テキスト2級-1