「動物権運動」を支持している人たちは
動物の権利を尊重すべき!
と、主張しがち。
従来の「動物愛護運動」は動物に
優しくしましょう!
同情心を持ちましょう!
と感情に訴えてきたけれど
「動物権運動」は
このような行動をとるべき!
と、人の理性に訴えるので、
運動が「純粋」で「直線的」で「理想」に走る傾向に・・・。
その結果。
運動が過激になる場合もあるんだ。
動物権運動の現状
過激になりがちな「動物権運動」
動物の権利を擁護しようとする運動は
戦略的なプロの活動家が具体的に「的」を絞り
ひとつ、ひとつ解決していこうとする特徴が。
実際に「社会の支持」を圧力として利用し、
目的を達成してきたのです
ドレイズ・テスト
1980年
アメリカの動物権運動の活動家である「ヘンリー・スピラ」は、
ニューヨーク市「マンハッタン」の五番街で大規模なデモを行ったんだ。
それは
ウサギを使った「ドレイズ・テスト」を行っている化粧品会社「レブロン社」の本社前で抗議。
驚くのは、デモの前日。
スピラは『ニューヨーク・タイムズ』紙の一面を使って広告を出したの。
それは
「目に包帯をしたウサギ」の絵が描いてあり
レブロン社は、美しさのために何匹のウサギを失明させるのか
と、書いてあったんだって。
その広告を見て
このデモに参加した人もいたんだって。
でもね。
スピラは、いきなり「デモ」を始めたわけじゃないんだ
スピラはレブロン社に、生きたウサギを使わない、
「ドレイズ・テスト」に代わる別の方法(代替法)の開発を促進するために、
資金の提供をすべき!
と、1年も前から交渉をしていたけれど、
レブロン社がそれに応じようとしなかったので、
スピラは「デモ」に出て、「社会」に訴えるしかなかったんだ。
このデモの後、
レブロン社はすぐに約1億円を拠出。
ロックフェラー大学で代替法の研究を始めたんだって。
現在では代替法の研究も進み
動物実験の数はかなり減少。
レブロン社や、そのほか多くの会社の化粧品などには
【クルエルティー・フリー】(Cruelty-free)
化粧品や薬品が開発段階で
動物実験してないよー・・・って意味。
という文字が印刷されるようになったんだ。
これからの「動物権運動」(アニマル・ライツ)はどうあるべきか?
このような
圧力を加えて目的を達成しようという活動や
実力行使で「実験動物」を盗み出したりする過激な活動も出てきて
動物権運動は、
□ やや過激な活動
□ 過激な思想
そんな批判も出てき始めたんだ。
今は、
そんな行き過ぎた行動は沈静化しつつあるようだけどね
最近では
人間の健康や、絶滅危惧種の問題などを環境の問題と結びつけて
「環境倫理的」な立場からの「動物権利」を提唱している意見が見られるんだ。
動物に関する問題は、今や複雑。
利害が錯綜しているため、
むかしのような「素朴な思いやり」だけでは解決できなくなっちゃった。
この複雑な問題の解決のために
理性に裏付けられた「動物」と「人間」のかかわりあいについて考え方を確立する。
それが必要になってきているんだ。