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宇宙-sora-物語|宇宙-sora-が生きた日々の記憶19|【とんぼ】さんとボク

ボクの生きてきた日々

ねぇ、おかーちゃん。
覚えている?
あの日のこと・・・

ボクが初めて「とんぼ」さんを見た日のこと。

 とんぼさんと、ボク。

ボクがまだ、うんと小さかったころ。
お外で遊んでいると、どこからか、「ぱたぱたっ、ぱしゃぱしゃっ」って音が聞こえて来たんだ。
「・・・にゃに?」
ボクは音のするほうへ耳をジッと傾けてみた。
「・・・あっち、かにゃ?」
その音は、ボクがこのお家に来てずいぶん後になってから、ボクの家の前に建った家の玄関先に置いてある大きな「水がめ」の中から聞こえて来た。

ボクが音のするほうへと近づこうとすると、
「よそ様のお宅だからダメ」
って、おーちゃんが言うけれど、気になるんだもの、仕方ないよね
【・・・っていうか、おかーちゃんにはこの音、聞こえないの?】

ぱしゃぱしゃ音のする「水がめ」に手をかけ中を覗こうとしたけれど、小さかったボクには縁の上まで手が届かず、中を見ることが出来なかった。
「何かいるの?このお家のメダカさんは、もうずいぶん前からいないよー」
おかーちゃんは、このお家に【カイランバン】と呼ばれるものを時々持っていくとき、水がめの中を覗き込んでいるらしい。
それでもボクが中を覗こうとしていたから、おかーちゃんも一緒に覗き込んだ。
「あ、とんぼ」
「・・・とん、ぼ?」
水の上で羽根をバタつかせていた【とんぼ】さんを、おかーちゃんは救い上げた。
「とんぼさんっ!見せてっ!」
「ここはよそさん家だから、お家に戻ろうね」
おかーちゃんは、ボクの体をヒョィと持ち上げ小脇に抱え込み、とんぼさんを手の中に包み込んだまま、「ったく、お留守だったからよかったけど・・・」ブチブチ言いながら、ボクのお家のお庭まで急いで戻った。

お庭に戻ると、おかーちゃんはボクに、手の中のとんぼさんを見せてくれた。
初めてみる虫さんだった。
ボクはちょっぴり、胸がどきどきした。
おかーちゃんがそっと地面に置くと、とんぼさんは濡れた羽根をバタつかせて飛べずにいた。

『ぺちっ』
ボクは、とんぼさんを叩いてみた。
『ぱたたっ』
とんぼさんが、ばたばっと動いた。
『ぺちっ』
もう一度。
『ぱたたたたっ』

ぺちちっ。
ぱししっ。
バシバシバシバシバシバシ・・・っ。

「そ、宇宙-sora-くーん。とんぼさんをそんなにイジめちゃダメだよー」
おかーちゃんがそう言った次の瞬間、
ふわ~・・・ぁ。
とんぼさんが空へ向かって飛び立った。

ボクは、もう一度叩こうとした手をそっと地面におろし、飛んでいく【とんぼ】さんをただその場に座って見送った。
「ありゃ。とんぼさん、逃げられちゃったねぇ」
おかーちゃんは、ちょっとホッとしたような口調でそう言った。

おかーちゃんはあの日、ボクが【とんぼ】さんをいじめていたと思っていたらしい。
ボク、【とんぼ】さんの羽根を乾かしてあげていただけなのに、な。

 しっぽ!

いつもように、おかーちゃんはお仕事から戻るとボクを夕方の「お散歩」に連れて行ってくれた。
しっぽをピンと立て、ゆらゆら揺らしながら歩くボク。
ボクの後ろからついて歩く、おかーちゃん。
あっちへ ふらふら~。
こっちへ ふらふら~。
ボク歩行くところ、行くところ、おかーちゃんはついてくる。

あっちへ ふらふら~しては、匂いを嗅ぐ。
こっちへ ふらふら~しては、匂いを嗅ぐ。
いろんな匂いを嗅いで、情報収集。

「今日も異常にゃーし」
ボクはちょっぴり疲れて、その場にちょこんと座った。
おかーちゃんも、ボクと一緒に・・・

「ぃ・・・っ!?」
しっぽの先っちょに走る激痛に、ボクは思わず
「ふしゃーーーーーっ!」
おかーちゃんの顔を見上げ威嚇した。

「おかーちゃん!ボクのしっぽ、踏んでるーーーっ!」

あれから今日まで、ボクはまた、何度かしっぽを踏まれた。

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