★プロモーションが含まれています★

【猫様】と下僕の日々彼是(当サイト)で紹介している情報やアイテムは、「アフィリエイトプログラム」によって収益を得ています。

宇宙-sora-物語|宇宙-sora-が生きた日々の記憶15|はじめての・・・

ボクの生きてきた日々

ボクは、ふと思い出した。

あれはボクが夜、お外で遊ぶようになってから数日が経っていた頃だった・・・と、思う。

 はじめての・・・

その日の夜も、おかーちゃんが玄関のドアを開け、「いざ!おさんぽ~♪」と、お外に出ようとした次の瞬間。
「・・・ぇ?」

あまりにも突然の出来事に、ボクの体は思わず固まってしまった。

それはどうやら、おかーちゃんも一緒だったようで、
おかーちゃんもまた固まっていた。

「・・・・んー」

おかーちゃんは何も言わず、開けたドアを閉めた。
そしてもう一度、ゆっくりそーっと、今閉めたドアをまた開ける。

そいつはやっぱり、そこに「ぬぅん」と座っていた。

「だっ、だれだ、お前っ?!」
と、ボクが聞くよりも早く、目の前に座っていた体の大きな見知らぬ「猫」は、
『ニャー・・・ン』
(ハラ、ヘッタァ・・・)
そう言ったのだ。

はじめての ともだち

「あら、まぁいやだ、お前、どこから来たの?」

そう言いながら、おかーちゃんから「外に知らん猫が来てる」そう聞いた ばーちゃんが、溢れんばかりのカリカリを入れたお茶碗を持って外に出てきた。
「ねぇ、それ、ボクのカリカリ・・・」
ボクはそう言いたかったけれど、我慢した。

だってボクは、いつでもお腹いっぱいにカリカリが食べられるのだ。

おかーちゃんも、ばーちゃんも。
初めてこの庭にくる猫を見ると、「あら、いやだ」とまずはそう言う。
でも本当に嫌なわけではないらしい。

「いやだ」と言いながらも、怒るでも、追い払うでもない。
それどころか、「お茶碗いっぱいのカリカリ」を持ってくる。
そして次の日から、ちょっと豪華になった「そいつ用のご飯」がちゃんと用意されるのだ。

それは今も変わらない。

ほんと。
いったいこれまで、何匹の「猫」がボクの庭にカリカリを食べに来ただろう。
セガワサンに、モコ、ヨダにホネ、クロにグレに・・・あぁもぅ、覚えてないや。

でもどうやって、この庭までたどり着くのだろう。
もしかしたら、ボクの家の屋根からは、ノラにしか見えない、何か目印になる光が空に向かって伸びているのかもしれない。

・・・ボクは見たことがないけれど。

ボクに似た模様のそいつは、遠慮することなく、ボクの「カリカリ」をガツガツを食べ始めた。
それは見事な食いっぷりだった。

一粒残すことなくカリカリを食べると、
「はー、くった、くった」
顔を少しだけ洗って、何事もなかったかのように、もっそりと歩いて立ち去って行った。

少し離れていたところで見ていたボクは、呆気に取られていた。

次の日の夜も、そいつはボクの家の庭にやってきた。
その次の日の夜も、また次の日の夜も。

大きな体のそいつに最初は驚いてしまったけれど、
早く夜になって、彼に会うのが楽しみになっていた。

ボクは、彼が食べている間ずっと横に座って話しかけた。

「ねえ、名前、なんていうの?ボクはソラって呼ばれてるよ」
「名前?そんなもんはナイ」
「じゃぁいつも、なんて呼ばれているの?」
「俺のこと、呼ぶ奴なんていないさ」
「・・・そうなの?」

じゃぁボクはキミのこと、何て呼べばいいんだろう。

でもそれはすぐに解決した。
おかーちゃんが彼が「オギ」と呼び始めたから、ボクも一緒に「オギ」と呼ぶことにした。

「オギ」が、なんとかーっていうスポーツ選手の顔に似ていたらしい。
で、その人の名前の一部をもらって「オギ」なんだって。

オギも、そう呼ばれることは別に嫌じゃなかったようなので「オギ」に決定した。

「どう呼ばれようが関係ない。いやだと抗議したところで、それが人間に伝わるわけじゃないし。俺はご飯がハラいっぱい食えればそれでいい」
と、オギは言う。

オギって名前、気に入らなかったのかな。

「ねぇ、オギのお家はどこ?」
「・・・ない」
「ぇ・・・ない、の?」

ボクはどうやら、聞いてはいけないことを聞いてしまったらしい。

『なぜいつも、ボクのお家にご飯を食べに来るの?』
それも聞いてみたかったけれど、ボクは聞かなかった。

世の中にはオギのように、
帰るお家も寝るところもない猫たちがたくさんいるんだと知った。

そして、そういう猫たちは、
どんなにお腹が空いていても、ご飯を食べられない日があるんだと言うことも。

だからボクは、誰かがこのお庭に来たら、
とりあえず「ご飯」だけは食べてもらおうと心に決めた。

まぁ、それを用意するのは、ばーちゃんだけど、な。

オギは遊んでくれることはなかったけれど、ご飯を食べている間ボクは、オギのしっぽに勝手にじゃれて遊んだ。

オギは食べ終わってもすぐに帰ることはなくなり、顔を洗ったり、毛づくろいをしたり、少しのんびり寛いで行くことが多くなった。

その間もボクは、オギのしっぽにじゃれて遊んでいた。

ボクは、オギがこのままボクのお家で暮らせればなぁ、って思っていたけれど
おかーちゃんも、ばーちゃんも、オギに「一緒に暮らす?」とは言わなかったし、
オギも「家に入れてくれ」とは言わず、時間になるとどこかへ歩いて行ってしまった。

オギには決まったお家はないけれど、
それでも雨風をしのげる「いい寝場所」があるらしい。

なにより「自由なのがいい」と言っていた。

夜外に出て、オギと遊ぶようになってから数日が過ぎた。
そんなある夜、いつものようにハーネスを装着し、ドアを開け外に出ようとした瞬間
「・・・・。」
ボクは固まってしまった。
おかーちゃんもまた、ボクと同じように固まっていた。

おかーちゃんは、開けたドアをゆっくり閉める。
そして、もう一度ゆっくり開けなおす。

見間違いではなかった。

オギはボクの遊び相手を連れて来た。

はじめてのガールフレンド

もう、どんな顔をしていたのかは憶えていないけれど。

オギの後ろに隠れるようにして玄関の前に座っていたのは、
うす茶色の毛色にお花の飾りがついた首輪をつけた、ボクと同じ大きさ位の女の子だった。

首輪の先には、引きちぎってきたように、きつく縛られた紐がついていた。

ということだけは、憶えている。

「あら、いやだ。迷子かしら?」
おかーちゃんに「ひとり増えた」と言われ、ばーちゃんがご飯をふたつ持って出てきていた。

うす茶色の女の子は「ちゃぁ」と呼ばれた。
茶色の毛色だから「ちゃぁ」なんだって。

・・・安易すぎる。

この日から、「ちゃぁ」はオギと一緒に遊びに来るようになって、ボクのお家でご飯を食べるようになった。
でも、小さな体ではオギのような量は食られず、すぐに食べ終わってしまった。

ちゃぁは、最初は怖がって警戒していたけれど、そのうちに慣れ、
いつものようにオギのしっぽにじゃれて遊んでいたボクに

「ねぇ、あそぼ!」

と言ってきた。
ちゃぁがご飯を食べ終わると、ボクたちはすぐ横の「親戚の畑」で遊ぶことが多かった。

とはいえ、ボクには「ハーネス」が着けられていたので、ちゃぁのように自由に走り回ることはできなかったけれど。

でもそのうち、ボクの首輪には「赤いライト」がついていたので、「大丈夫・・・かなぁ」と、おかーちゃんは暗がりにちょっとドキドキながらボクのハーネスを離してくれた。

雑草しかなかった親戚の畑の中で、ボクたちは虫さんを追いかけて遊んだ。
おかーちゃも、ボクといっぱい遊んでくれたけれど、

「そっちいったよ!」
「あ、そっちいっちゃった~」
「ほら、そこにいる・・・」
「え・・・どこ?」
「えいっ!」
「にゃぁっ!」

同じ目線で同じものを追いかけられる「ちゃぁ」との遊びは、ものすごく楽しかった。

思いっきり畑の中を駆け回って遊んだので、勢いあまって道路に飛び出さないだろうか?
興奮して、変なところに走って行ってしまわないだろうか?
おかーちゃんはかなり、ドキドキしていた。

虫さんを追いかけ疲れると、ボクたちは寄り添うようにして畑の中で休んだ。

静まり返った雑草だらけの畑の中に「ちゃんといるんだろうか?」と、おかーちゃんは不安そうにボクの首輪についた光を探した。

そのうち、「あのふたり、いつも何をしているんだろう?」と、おかーちゃんは ちゃぁ に嫉妬するようになった・・・らしい。

だったら、おかーちゃんも一緒に遊べばいいのに。

ボクと ちゃぁ が遊んでいる間オギはボクの庭で寛いでいたけれど、オギが帰るころになると、ちゃぁも一緒に帰ってしまった。

その瞬間だけ、ボクはなんだか急に寂しくなった。
いつもふたりで、どこへ行くのだろう?

オギと ちゃぁ が帰ると、おかーちゃんはもう少しだけボクとお外で遊んでくれた。

その頃、ボクは定期的に病院で「血液検査」というものをしていた。
生まれつき腎臓が悪いとかで、血液の数値のチェックだった。
その日も、ボクの数値はあまりよくなかったらしい。

その日、おかーちゃんは獣医さんに
「もしこのまま悪化するようであれば、手術と言うことも・・・」と言われていた。

その日の夜、おかーちゃんはオギがご飯を食べていると
「ねぇ、オギぃ。もしさぁ、宇宙の腎臓がもっと悪くなって手術なんていうことになったら、オギたちの腎臓を一個ずつ、くれないかなぁ・・・」

なんて言うから!

その次の日からオギも ちゃぁ も、ボクのお庭に来なくなってしまったじゃないかーっ。

・・・おかーちゃん、うらんでやる。

はじめての 同居人猫

オギとチャ子がお庭に来なくなってから5年後。
ある日また、ボクの家のお庭に猫がやってきた。

その猫は、ボクと同じくらいの大きさの茶トラの猫を連れていて、なぜか茶トラの猫だけを残してそのままどこかへ行ってしまった。

残された茶トラの猫は、次の日からひとりで来るようになったけれど、最初の頃は怖がって、なかなか縁側の床下から出てこれずにいた。

それでも、おかーちゃんが何もしないとわかるようになると、そろそろと床下から出てきて、ボクと遊ぶようになった。

茶トラの猫は、最初はビクビクしながらボクにすり寄ってみた。
おかーちゃんが少し動くと、ビクッ!として慌てて逃げようとしたけれど、そのうち逃げることもなくなった。

その日は、開けっ放しにしていた玄関の中から「いい匂い」がしたらしい。

ちょこちょこ振り返りながら、ゆっくりそろそろ・・・ビクビク、おそるおそる玄関に入っていく。
「クンクン・・・っ」
ニオイを嗅ぐ。
そこには、ボクのお気に入りのヒョウ柄の「にゃんこグローブ」が置いてあった。

「・・・あっ!」
それ、おかーちゃんとプロレスするときの大事なやつ!

茶トラの猫は、ボクの「にゃんこグローブ」を咥えると、急いで玄関から出てきた。
そしてにゃんこグローブを咥えたまま、縁側の床下へと入っていってしまった。

にゃんこグローブの「爪」の部分には、「ニットキャップ(またたび)」が入っていたのだ。
おかーちゃんがそのグローブを手にはめて、そこに思いっきり嚙みついたり、ケリケリして遊ぶのが楽しかったのに!

「それ、ボクのー・・・」と思ったけれど。

床下で、嬉しそうに抱きかかえる姿にボクはなぜか怒れなかった。
もちろん、おかーちゃんも。

「また、買ってあげるね」
おかーちゃんは、ボクの頭をなでながらそう言った。

猫用品のゴロにゃん 楽天市場店
¥1,047 (2022/02/07 20:39時点 | 楽天市場調べ)

その頃には、茶トラの猫は「ニャ太郎」と呼ばれるようになっていた。

ニャ太郎は、ボクがお外に遊びに出るとどこからともなく現れて、ボクが遊んでいる間ずっと一緒に遊んでいた。
でもボクが家に入る時間になると、どこかへトボトボ歩いて行った。

「どこで寝てるの?」
そう聞いたことがあるけれど
「んー・・・」
ニャ太郎は答えなかった。

でもボクは知ってる。
縁側の床下で、あのグローブを抱えて寝ていること。

おかーちゃんは、ニャ太郎がお家の中に入ってもいいと思っていたけれど、
じーちゃんがあまり賛成しなかったんだ。

それでも、ニャ太郎が入りたいって言えば、じーちゃんが何と言おうと、おかーちゃんは入れてくれたんだけど・・・。

ニャ太郎はなぜか、お家の中には入ろうとしなかった。

その頃は、ボクの家の周りにはあまり家がなくて、畑や空き地が多かった。
空き地には、虫さんやカナヘビさんが住んでいて、ニャ太郎と一緒に追いかけていた。

その日の夕方も、近くの空き地でボクはニャ太郎と一緒に遊んでいた。
その空き地の持ち主が猫好きさんで、ボクたちが遊ぶことを許してくれていたから、ボクたちは堂々と遊べたんだ。

おかーちゃんはそれを、傍でずっと見ていた。

でも、お家に入る時間が近づいて、おかーちゃんとボクが帰ろうとすると、ニャ太郎は寂しそうに座ってボクたちをジーッと見送っていた。
ふと振り返ったおかーちゃんがその姿を見て、

「ニャ太郎もおいでっ」

そう大きな声で呼んだんだ。
ニャ太郎は嬉しそうに、ボクたちを急いで追いかけて来た。

ボクも嬉しかった。
でも、ニャ太郎が追いかけて来たのはお庭まで。

おかーちゃんは、玄関を開けてニャ太郎が入るのを待っていたけれど、家の中までは入ることはなかった。
やっぱり、じーちゃんの気配が気になるらしい。

でも、その次の朝。

カーテンを開けるとベランダにニャ太郎が座っていたのには、びっくりした。

ニャ太郎はどうやって屋根の上に上がったのだろう?

ま、そんなこと。
どうでもいいかー。

以来、ニャ太郎は玄関から出入りはしなかったけれど、ベランダから毎日こっそり?!
二階にある「ボク」と「おかーちゃん」のお部屋の中へ入ってくるようになった。

じーちゃんには内緒で、夜はこの部屋で寝るようになった。

ボクに初めて【同居猫】ができたのだ。

ボクを生んでくれた「おかぁちゃん」のことも、一緒に生まれた「兄弟たち」のことも、
この頃にはすっかり忘れてしまっていた。

ボクがこの家に来てから、いつも誰かが傍に居てくれた。

ニャ太郎が来て、兄弟ができた。

そのニャ太郎は今はもういないけど・・・
今は、6匹の兄弟居候猫がいる。

これはこれで、ちょっとウザかったりするけれど。

ボクは、この家に来てから「寂しい」と思うことはなかった。

タイトルとURLをコピーしました